疥癬に関して

◎疥癬に要注意!!

◎カイセンをご存知ですか!?


水沢医師会報2003年11月号掲載より

◎ 疥癬に要注意!!

疥癬に要注意!! 学生時代にある教授から「女性を診たら妊娠と思え!」と教えられた。 もちろん女性の患者は常に妊娠を念頭に置いて診察に当たれ! とのことである。 しかし昨今では「老人を診たら疥癬と思え!」となってしまった。 それほど患者数が多くなっている。

 介護制度のおかげで老人の多くがディ・サービスやショート・スティを受けるようになった。 それを楽しみにしている老人も多いと聞く。 そのあげくディ・サービスのハシゴをする老人もいるとか。 老人施設も増えた。 そんな中に疥癬感染患者がいたらどうなるのか。 そんな状況が今日の事態の原因ではないかと秘かに考えている。

 疥癬患者が多くなっていろいろと勉強になった。 まったく老人性の乾燥肌に基づく湿疹と思って検査をしたら虫体を発見したり、ほんのわずかしかない丘疹に虫卵を発見したりと、疥癬恐るべし!と思うことが時にある。

 老人施設の職員もよく受診されるが、天気予報の降水確率に倣って、自分なりに基準を決めて「疥癬確率何%」と言ってそれなりの対応をしている。 ある場合には、施設職員が発症していないのに(施設でイオウ等の手洗いなどで対応しているためか)、その子供に感染し瘙痒を訴えることもあった。 この時も疥癬恐るべし!だった。

 金ヶ崎の山奥に往診に行った時のこと、疥癬とMRSAの混合感染であった。遠路はるばる往診に行っておいてよかったと思った。

 水沢医師会の会員の先生方、痒みの強い発疹でリンデロンVG軟膏等を外用してサッパリ変化ない場合は是非皮膚科専門医へおまわしください。 ヘタをするとご自身や職員がうつってしまうこともあります! 医者も人間ですから・・・・。 もちろん私自身も気をつけています。


『JA広報誌』2004年5月号(No.71)掲載より

◎ カイセンをご存知ですか!?

近頃、お年寄りの間で、水面下に流行っているヒフ病が“カイセン”です。 “カイセン”は疥癬と書き、人につくダニの病気です。

 このダニは人の皮膚から栄養分をとって生きるので、人から離れれば数日で飢え死にしてしまいます。 他の動物や家のチリなどの中では生きていけないのです。

 さて、それではこの疥癬、どんな病気かと言いますと、やたらに痒い。 特に夜が痒い。 身体全体に痒くなりやすいのですが、お腹や背中は小さい虫刺されのような赤いポツポツがたくさん出て、マタや腋の下には米粒くらいのシコリが出てきたりします。手には小さな水ぶくれのようなものがいくつも出てきます。私たち皮膚科の専門医は、その病気であると決定するために皮膚をほんの少しとって顕微鏡で、ダニのカラダや卵などを捜すのですが、取り分け見つけやすい場所は手や陰部、腋の下などです。

 もう一つ、この病気の特徴は、通常のしっしんや虫刺されの治療では良くならず却って悪くさせてしまうということです。 さらには家族などの身近な人に病気をうつしてしまうことにもなります。

 もともとはそれほど強い感染力ではありませんが、悪化させてダニの数が増えると伝染しやすくなり、全身が真っ赤になって粉をふいたようになり、手足は白く厚いカサがこびりついたようになります。こうなると「ノルウェー疥癬」と言う超・重症の疥癬です。

 治療はダニを殺すことが主眼となり、それに痒み止めを飲んで頂くことになります。 ダニを殺すのにオイラックスやイオウの入った軟膏や六十ハップ(湯の華)を用いたりします。ただし、お肌の弱い人はこうした塗り薬でカブレをおこすこともあるので、心配だからとむやみに塗ることはお勧めできません。 是非専門医の指導の下での治療をお願いします。 また、ノルウェー疥癬では、入院しての厳重管理下での治療となります。

 最初にもどって、今何故ダニなのか? 介護保険が始まって、デイ・サービスやショート・スティなど抵抗力の弱ったお年寄りの集まる機会が多くなったことが挙げられます。 また、しっしんの治療に安易に強い薬が用いられていることも蔓延させてしまっている原因だと思います。 いずれにせよ事が大きくならないうちに専門医への受診をお勧めします。 明日は我が身とならないように・・・・。